デパートの上の方にある大食堂というと、「昔家族で行ったなー」なんてことを思い出す方も多いのではないでしょうか。今回は地元の方に長年愛されたデパートの1つである「マルカン百貨店」が閉店してしまうということで、岩手県花巻市へ行ってきました。
マルカン百貨店の大食堂は”昭和モダン“な雰囲気が特徴で、名物である10段のビッグサイズなソフトクリームが大人気だそうです。これはぜひ訪れて食べてみたい!ということで花巻へ向かいました!
まずは最寄り駅である花巻駅にやってきました。
駅の中にある観光案内所を訪れてみると、花巻観光協会発行の「花巻うまい処マップ」の表紙にさっそくマルカン百貨店のソフトクリームが!いかに地元で愛されているかが伝わってきますね。下の方にもちゃっかりソフトクリームのイラストがあしらわれているのもかわいいです!
花巻駅からマルカン百貨店へは徒歩15分ほどとのことで、のんびり歩いていくことにしました。
花巻といえば宮沢賢治の故郷として有名です。2016年は宮沢賢治生誕120周年の年ということで、記念イベントなども開催されるそうです。
駅前には「注文の多い料理店」をモチーフにしたベンチがありました。
このように街のあちこちに宮沢賢治の童話をイメージしたオブジェがあります。
しばらく歩くと、渋いアーケードが並ぶ吹張商店街に出会います。
商店街のとあるお店の扉を見ると、「賢治百年祭」のステッカーが。
ん?今年は賢治生誕120周年だったはず…。ということは20年前のステッカーが貼りっぱなしに!?
そんな吹張商店街を抜けると、花巻のメインストリート・上町商店街に到着です。
おしゃれなアーケードが特徴的だなと思っていると、上町メルヘンプロムナードという愛称がつけられていて、童話をイメージしたメルヘンチックなデザインになっているようです。電灯の三角屋根もかわいい!
そしてその商店街の中心部にあるのが…こちらのマルカン百貨店です!
百貨店とあって堂々たる風格の建物です。
マルカン百貨店は1973年にオープンし43年に渡り営業してきましたが、建物の老朽化などにより2016年6月7日に閉店することになってしまいました。現在は花巻市街唯一の百貨店ということで、閉店してしまうのはとても寂しいですね…。
地元では存続に向けた動きもあるようですが、「マルカン百貨店」という形での営業はひとまず6月7日で終わってしまうようです。
お店のマークも丸っこくてかわいい感じです。
看板には「マルカンデパート」と書かれていますが、正式名称が「マルカン百貨店」、愛称が「マルカンデパート」という扱いのようです。
マルカン百貨店は1階から5階までが売り場となっていて、6階に展望大食堂があります。
「楽しさに出あう街かど」というコピーも良いですね…!
今は1階から6階までの営業ですが、1階の外からは地下へ通じる階段とその上に札幌時計台風の装飾が見えました。かつて地下には食品売り場もあったそうです。
7階もかつてはゲームセンターだったようなので、もしかしたら屋上遊園地なんかもあったりしたのでしょうか。
店内にはあちこちに「43年のご愛顧ありがとうございました。」と閉店のお知らせが。
食堂は閉店の発表後、混雑に拍車がかかったため従業員の方の体調を考慮して臨時休業日が設けられていたりラストオーダーが短縮されたりしていました。
食堂を訪れる予定の方は事前に営業時間を確認することをおすすめします!
まずはさっそく食堂をめざしましょう!
エスカレーターを乗り継ぎ、最後に階段を登ると…
ついに展望大食堂に到着です!
こちらがマルカン百貨店の”昭和モダン”な展望大食堂です!
暖かい色の照明がとてもきれい!
この日は土曜日の夕方とあって多くのお客さんで賑わっていました。
ショーケースにはメニューのサンプルがずらっと並んでいます。
洋食はもちろん、お寿司に加え…
定食・麺類・そしてデザートまで。
どれを食べようか、ケースの前で迷いに迷ってしまいそうです。
ここでは「ナポリカツ」という、ナポリタンの上にカツが載ったメニューも名物なのだそうなのですが、残念ながらこの日の販売は終了してしまっていました。
果たしてあのビッグなソフトクリームは食べられるのか!?とショーケースを探すと…
ありました!!
しかも税込み180円と破格のお値段!!
早速食券を買いに行くと、レジの上にもきれいなステンドグラスがありました。
ソフトクリームを作っているキッチンも見えました。
この名物ソフトクリームが作られる場面をぜひ動画で残したい…と思い、お店の方にお願いしてみました。すると快くOKしていただけました!
こちらがその動画です!
10段ソフトクリームがなんと1つ10秒ほどでみるみるうちにできあがっていきます!!
バイキングなどでソフトクリームを自分で作ったことがある方ならお分かりいただけると思うのですが、ソフトクリームメーカーで作るのってとっても難しいですよね…。
そんなソフトクリームを10段重ねて、ましてやそれを10秒で作るとは…技術に感動です!!
そしてソフトクリームがいよいよテーブルにやってきました!
間近で見ると、ますます大きい!!
このソフトクリームを箸で食べるのがマルカン流とのことで、ファンシーな箸立てから箸を取り出しさっそくいただきます!
お味は甘すぎず、あっさりしすぎずちょうど良い感じです!
何気ない日常の中で食べた、いろいろなソフトクリームを思い出すようなやさしい味でした。
展望大食堂とあって、窓からは花巻市街が一望できます。
食堂では家族連れや年配のご夫婦、若者のグループなど、さまざまな方々が思い思いに過ごされていました。
ソフトクリームを堪能した後は、百貨店の店内を一通りまわってみます。
小さなゲームコーナーもありました。
えんじ色のエレベーターも渋い。
そんなこんなでショッピングも満喫した後は、後ろ髪引かれる思いではありますが、マルカン百貨店を後にすることにします。
陽が落ちると、街からはマルカン百貨店の大食堂の明かりがよく見えました。
その姿はまるで灯台のようで、ずっと花巻の街を見守り続けてきてくれたんだなと思いました。
マルカン百貨店は初めて来たにも関わらずファンになってしまうほど魅力的なお店でした。
閉店してしまうのはとても寂しいですが、たとえお店がなくなってしまったとしても、マルカン百貨店で過ごした思い出はたくさんの人の心に残り続けていくのだと思います。
……ちょっとしんみりしてしまいましたが、当のマルカン百貨店は、中でも大食堂は、しんみりしている暇がないほど最後の最後まで大いに賑わうことでしょう!!
そう、マルカン百貨店の大食堂こそが「注文の多い料理店」だったのでした。
どんどはれ。
マルカン百貨店(マルカンデパート)
◎住所
岩手県花巻市上町6-2