369daysのROOF TOPIC
第3回
丸広百貨店わんぱくランド

2019年9月1日、埼玉県川越市にある屋上遊園地「丸広百貨店わんぱくランド」(以下わんぱくランド)が百貨店の耐震工事のため、51年の歴史に幕を下ろします。51年前の1968年といえば・・・人類がまだ月に行っていない頃。当時流行のパンタロンを履いた若者も遊びに来ていたのでしょうか?
そんな、時代を超えて人々に愛されてきたわんぱくランドが閉園してしまうと知り、店長の福島さんにお話を伺いに行ってきました。「屋上とそら」最初で最後のわんぱくランド特集。永久保存版ですよ!

この記事は フリーペーパー『屋上とそら』Vol.37に掲載された「369daysのROOF TOPIC 第3回」の完全版です。

屋上に到着しわんぱくランドへの扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのが、見て乗って楽しんでほしい観覧車「わんぱくホイール」。福島さんは、晴れている時は観覧車から富士山が見えることを、乗車するお客さんにも伝えています。県外から毎年お正月に乗車しに来る3世代の家族もいるとのこと。
以前、ドラマの撮影で観覧車横の運転室が撮影班によってポップコーンの販売所に変えられ、撮影が終わった後もポップコーンのいい匂いが漂ってしまい、お客さんから「どこでポップコーン売っているんですか」と聞かれた、と観覧車にまつわる思い出を笑いながら語ってくれました。

屋上遊園地の閉園が相次ぐ中、幅広い層のお客さんに楽しさを提供したいという思いで営業を続けてきたわんぱくランド。令和になった今、昭和の香りを楽しめる最後の空間です。
数少ない屋上遊園地が閉園してしまうのは寂しいと、福島さんも残念そうにしていました。屋内の施設と異なり、暑さや寒さをお客さんと一緒になって体感できるのも良い思い出だそう。

インタビューを終え、観覧車に乗ってみました。大人も4人まで一緒に乗車可能。ゴンドラは360度水平に回転します。曇りだったため富士山は見えませんでしたが、わんぱくランドで楽しむお客さん達の笑顔を見渡すことができました。屋上に設置された、小さい観覧車ならではの眺めです。

閉園した後にアトラクションやアトラクションの一部を保存するかは未定。でも、わんぱくランドでの思い出はお客さんにも福島さんにも永久保存されることでしょう!

園内を一周する、てんとうむしの形のモノレール「わんぱくビード」も人気の乗り物。屋上にあるため、実際よりも高さを感じ、スリルを楽しめます!

閉園が決定し、わんぱくランドにはメモリアルホールが設置されました。お客さんから寄せられた昔のわんぱくランドの写真の展示や、わんぱくランドへの思いを書き込めるメッセージコーナーが。

丸広百貨店わんぱくランド店長
福島さんへインタビュー

わんぱくランドに来る方はどのような方が多いのでしょうか?
お子様連れの親子が多いです。
閉園を発表してからもお子様連れが多いというのは変わらないですが、人数が圧倒的に増えました。
わんぱくランドで、閉園までに見てほしい部分はどこでしょうか?
ベタですが、なんと言っても観覧車「わんぱくホイール」ですね。
もちろん、ひこうき「わんぱくエアプレーン」やモノレール「わんぱくビード」など見てほしいものはいっぱいあるんですけど、
一番人気はやっぱり観覧車。
時間や天気によって色々な表情を見せるので、乗るだけではなく見てもらうというのも良いかなと思います。
観覧車に乗っている時に見てほしい景色はありますか?
晴れている時に見える富士山。
自分としても、わんぱくランドから見える景色で一番好きです。
富士山が見えてると、今日見えてますよとお客さんにも教えています。
毎回乗っている人は「ああ、そうですね」という反応ですが(笑)
各アトラクションの歴史を教えてください。
バンダイナムコアミューズメントの手元資料として弊社に残る資料は以下となります。

・1968年年10月開業
当初はお城観覧車、飛行機、コーヒーカップ、コーヒーカップの上部の部分、回転自動車、新幹線ひかり号

上記の機械で開業

・1972年9月25日 1回目のリニューアル

お城観覧車が、ゴンドラが360度水平に回転するナムコ仕様にリニューアル。
回転自動車が現行のモノレール「わんぱくビード」に変わりました。
コーヒーカップはメリーゴーランドに変わりました。
もう今はありませんが、宇宙船、ミニカー(バッテリーカー9台)と、ターン式飛行塔(メリーゴーランドの上部にあったそう)
木馬32台(お金を入れて乗る乗り物)を設置。
また、屋上の屋外にゲーム機を80台設置しました。

・・・木馬32台もあったんだ!?すごいな。バンダイナムコアミューズメントは昔ナムコというメーカーだったんですけど
ナムコって元々木馬を置いたところからスタートした会社なんですよ。

・1992年7月17日 2回目のリニューアル
メリーゴーランドはなくなりました。
観覧車は二代目観覧車となり、現行の「わんぱくホイール」に変わっています。
飛行塔も現行の「わんぱくエアプレーン」に変わりました。
「わんぱくホイール」「わんぱくエアプレーン」「わんぱくビード」を新調し、屋内を含め全体の改装を実施して、今日に至ります。

開業当時のまま残っているものは無いのでしょうか?
全て何らかの手が入っています。
閉園した後にアトラクションやアトラクションの一部を保存する計画はありますか?
現在は未定です。
わんぱくランドでの思い出深いエピソードを教えてください。
私は4年前に赴任していますが、私よりも社歴が長いスタッフがいますので、彼に聞いたエピソードです。
ご家族で観覧車に乗られる60過ぎくらいのご婦人がいて、その方はスタッフに色々話しかけてくれるのでお話をお伺いすると、
毎年お正月は家族3世代でこの観覧車に乗るとのこと。
県外の方ですが、毎年の家族のルーティーンにうちのお店を入れていただいている。
それだけ愛されている観覧車だなあ、というちょっといいエピソードです。
わんぱくランドはテレビドラマや映画のロケにも使用されていますが、ロケにまつわる思い出深いエピソードはありますか?
ドラマ撮影で、観覧車の横の運転室(運行するためのボタンなどが付いている部屋)が、ポップコーンの販売所みたいなのに変えられたんですよ。
さすがプロなので1時間せずに変えたんですけど、その中にポップコーンマシンを入れて、実際のポップコーンを作ってたんですね。
終わって解体しても、ポップコーンの匂いがまだしていまして・・・。
お客さんにどこでポップコーン売ってますかって聞かれましたし、自分たちもポップコーン食べたくなりました(笑)
屋上遊園地は閉園が相次いでいますが、現在までわんぱくランドを続けてきた理由はなんでしょうか。
わんぱくランドは以前から地域の皆様に愛されて、3世代のご利用も多いのが特徴なんですね。
わざわざ県外から乗りに来たり、観覧車を撮影に来られる写真愛好家の方もいるんですよ。
そんなお客さんたちに楽しい思いを提供したいな、という気持ちで続けてきました。
店長の福島さんとしては、寂しいという気持ちはありますか?
そうですね。やっぱり数少ないものですからね・・・。
赤字だとか売り上げが悪いだとかではなく、耐震工事のための閉園なので、
それがなければ、きっと続けていますよね。
福島さん自身に屋上にまつわる思い出はありますか?
わんぱくランドのように、冬寒く、夏暑いお店は初めてだったんです。
ゲームセンターは冬は暖かくて、夏は涼しかったので、最初戸惑いはありましたね。
お客さんと一緒に汗かいたり、お客さんと一緒に寒いっすねーなんて話をしながら仕事をするのが初めてだったので、いい思い出です。
私自身が小さい頃は屋上遊園地がまだあったので。
小学校に上がる前に地元の百貨店の屋上遊園地で遊んでいたことをちょっと思い出しました。
閉園に向けての想いを語っていただけますでしょうか。
令和になった今、昭和の香りを楽しめる最後の空間です。
今までいらっしゃっていたお客さんはもちろん、しばらく足の遠のいていた方、屋上遊園地未経験の方、
全ての方に最後に一度足を運んでいただけたらなと今は思っています。
閉園するまでに、まずは来て、観覧車を見て。まだあったんだ!思ってほしいですね。

今回訪れた場所

丸広百貨店わんぱくランド

営業時間:10:00~19:00
(屋上コーナーは17:00まで、悪天候時は休み)
2019年9月1日閉園
所在地 埼玉県川越市新富町2-6-1

丸広百貨店わんぱくランドヒストリー

1968年10月
お城観覧車、飛行機、コーヒーカップ、回転自動車、新幹線ひかり号 で開業
1972年9月
1回目のリニューアル 木馬32台と、宇宙船、ミニカー、ターン式飛行塔設置 屋上コーナーにゲーム機を80台設置
お城観覧車のゴンドラが360度水平に回転する仕様に
回転自動車がわんぱくビードに コーヒーカップがメリーゴーランドに
1992年7月
2回目のリニューアル
大型遊具3種類を新調 屋内含め全体を改装し今日に至る
2019年9月1日
閉園

文:mikko(369days) 写真:milford(369days) 
SpecialThanks:株式会社バンダイナムコアミューズメント

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メリーゴーランド&遊園地だいすきユニット 369days みるくでいず について

メリーゴーランドや遊園地がだいすきなmikkoとmilfordのユニット。
「一年を369日分楽しめるように」との思いから、公式サイトやフリーペーパー「屋上とそら」などで津々浦々のおでかけスポットを紹介しています。

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mikko みっこ

大学の卒業論文で遊園地について書くほど遊園地が好き!珍スポット、レトロスポットも大好き!「永原さくら」という名前で、アニメソング・ゲームソングの作詞をしています。

milford みるふぉーど

旅行で遊園地や街などを巡ったり、猫、片付け、ランニングが好き。