山梨県の遊園地といえば富士急ハイランドや富士ガリバー王国(2001年閉園)が有名ですが、実は県庁所在地である甲府市の街中にも小さな遊園地があることをご存知でしょうか。
そこには一見どこにでもあるような遊具が並んでいるのですが、実はそれらの遊具はほとんどが閉園した屋上遊園地から持ってこられたものだったのです…!
今回はそんな「地上に舞い降りた屋上遊園地」とも言える「甲府市遊亀公園付属動物園内 こども遊園地」についてご紹介します。
甲府駅からバスで10分ほどのところにある「遊亀公園」にやってきました。
遊亀公園の中には甲府市営の動物園である遊亀公園付属動物園があります。
「こども遊園地」はこの動物園の中にあるため、まず動物園に入園します。入場料は大人320円ととてもリーズナブル。
動物園の園内はこのようになっています。よく見ると右下のほうに遊園地のようなイラストが描かれています。
動物園の一番奥までやってくると、ようやく遊園地の入り口が!
看板には味のあるイラストが描かれています。この遊園地は1958年完成しました。
看板の両脇に立つのは、ウルトラマン…ではなく、1972年に放送されたテレビ番組「突撃! ヒューマン!!」に出てくるヒーロー「ヒューマン」と、
1971~1972年に放送された番組に出てくる「シルバー仮面」なんだそうです。
園内に入ってみると、遊具がぎっしり!!
実はこちらの遊園地、松屋浅草や東急百貨店東横店などにあった屋上遊園地を運営していた「ニチゴ」という会社が運営されています。
そのため、ここの遊具はほとんどがそれらの屋上遊園地から持ってきたものなんだそうです。
こちらの遊具3台の並べ方は、たまたま屋上遊園地時代と同じになっているそう。
こちらの「ロボット」は日本に2台しかないという貴重なもの。
傾きながらゆっくり回ります。
水飲み場は懐かしさを感じるフォルムですが、きれいに塗装されています。
水の上を進むボート。
メルヘンチックな「BEAR\’S PHONE」。
カラフルな色合いが楽しい「ファンタジックサーカス」。
会社名が入った「NICHIGO BUS」という遊具もありました。
広いスペースで乗り回せる乗り物も。
屋上遊園地でよく見かける新幹線の乗り物。
乗り物以外にもサイコロを投げて景品がもらえるゲームや、
わたがしの機械もあります。
コインゲームもあり、安いものでは10円で遊ぶことができます。
敷地の一角は有料(300円)の「わんぱく島」というエリアになっており、トランポリンやボールプール、ジャングルジムなどで遊ぶことができます。
パンダの遊具もありました。
園内を一周する「弁慶号」に乗車!
さてここで、この遊園地のメインアトラクションといえる「弁慶号」に乗車します!
弁慶号は2両の客車を引いて園内を一周する列車です。
料金は1人100円。15分ごとに運航しています。
ホームの案内看板が本物みたいで凝っています!
それでは弁慶号に乗って園内一周の旅に出発!
小さなお子さんにはスタッフの方が旅のお供にとぬいぐるみを渡していました。
コース上にはあちこちに飾りが置かれていて楽しい!
ちなみにこの弁慶号は所定の位置で止まるのが難しいみたいで、ホームを少し行きすぎたり、逆に手前で止まってしまうこともありました。その場合は係の方が列車を押して調整してくれるのでそのまま座って待っていましょう。
線路上には遮断機のついた踏切も2か所あります。
以前はメリーゴーランドもありましたが、老朽化によって撤去されてしまったそうです。
その時の木馬は今も園内に残っています。
というわけで、甲府市遊亀公園付属動物園内の「こども遊園地」は、地上に舞い降りた“屋上遊園地”と言ってもよい、懐かしさあふれる遊園地でした!
日本で4番目に古い歴史を持つ動物園も魅力的!
さてここからは遊園地がある甲府市遊亀公園付属動物園について簡単にご紹介します。
動物園の面積は1万3000平方メートルと上野動物園の10分の1ほどしかありませんが、意外と見ごたえがあるんです。
元気に水浴びをするゾウや、
トラ・ライオン・ユキヒョウなどの猛獣も。
レッサーパンダは園でも人気の動物です。
ヤマアラシは初めて見たかもしれません。
この動物園の特徴は、ただ動物を展示するだけでなく案内板にも工夫があること。
ヤマアラシにかじられた鉄製の鍵や、ヤマアラシの針に触ることができます。実際針に触ってみると、予想以上に固くときんときんに尖っていてびっくり!
園内にあるゴミ箱も動物のイラストが描かれていてかわいい!これならゴミも楽しく捨てられそうです。
うさぎと触れ合えるコーナーには山梨県らしく立派な富士山がそびえています。
軽食やおもちゃを販売している売店もありました。
訪れた際はまだ2019年(平成31年)の4月でしたが、早くも新元号「令和元年」のパネルがありました。
実はこの動物園、開園は1919年と動物園としては日本で4番目に古い歴史ある動物園なのです。2019年は開園100周年を迎える節目の年になります。
そんな歴史を物語る資料がこちら。
これは2018年に園内で発見されたブドウを持ったサルの像で、昭和初期に動物園の入り口に立っていた門柱の上に付いていた像なのだそうです。
その頃の写真を見ると、確かに同じような像が写っています!
動物園のリニューアル計画で遊園地の今後は…?
そしてこの動物園では、開園100周年を機に大規模なリニューアルが計画されています。動物園がある遊亀公園全体を整備し、展示方法などを見直すことでより地域に愛される公園となることを目指しています。
計画では2021年から2029年にかけて段階的に工事が行われ、2030年にリニューアルオープンされるとのことなのですが、ここで気になるのは「こども遊園地」はどうなってしまうのか…?という点。
リニューアル後のイメージイラストを見ると、右下の現在と同じ位置に遊園地らしきゾーンが見えます。
平面図で見ても「遊園地(既存)」とあるため、敷地自体はそのまま残るようです!
ただ「一部セットバック」とあり敷地の一部が管理道路になる計画なので、現状維持とはならないかもしれません。
歴史のある動物園・遊園地だからこそ、レトロな魅力もありつつ安心して楽しめる公園になってほしいと思います!
*1 「甲府市遊亀公園・附属動物園整備計画(実施計画)案」より’