369daysのROOF TOPIC
第7回
東急百貨店東横店の屋上

この記事は フリーペーパー『屋上とそら』Vol.41に掲載された「369daysのROOF TOPIC 第7回」の完全版です。

2020年3月、東京・渋谷にある東急百貨店東横店の西館と南館が営業を終了し、東横店85年の歴史に幕を下ろしました。2013年に閉館した東館には屋上遊園地「ちびっ子プレイランド」がありました（屋上とそらvol.18に掲載）が、実はもっと昔･･･その屋上からロープウェイが伸びていたことをご存知でしょうか！

1951年に開通したロープウェイの名前は「ひばり号」。東横百貨店（旧 東館）の屋上から玉電ビル（旧 西館の一部）の屋上を往復していて、乗れるのは子供だけでした。残念ながら「ひばり号」は1953年に姿を消しましたが、渋谷の空を走っていたロープウェイは今も伝説となっています。

「ちびっ子プレイランド」の歴史は戦前に遡ります。当時既に子供自動車などの遊具施設があり、藁で作ったコースで行うスキー教室も開催されていました。

戦前の子供自動車乗車券　　所蔵：羽島コレクション 羽島知之氏

しかし、戦時中に屋上遊園地は焼失。戦後にすべり台などの小さな遊具から徐々に復興していき、1964年の東京オリンピックの頃には観覧車も設置されていました。

1964年頃の屋上遊園地を再現したジオラマ　　製作：冨澤瑞夫氏

山羊や羊、ポニー、鳥といった動物も飼育され、「ひばり号」が無くなった後も屋上遊園地は人々を楽しませ続けたのです。
2013年3月に「ちびっ子プレイランド」は惜しまれつつ閉園してしまいましたが、一部の遊具は山梨県にある甲府市遊亀公園のこども遊園地に移設されていますので、ぜひ会いに行ってみてください！
ああ、懐かしの「ちびっ子プレイランド」･･･閉園前に訪れ、綿菓子を食べたことを今も思い出します。あのワクワクを乗せて、これからの人生を駆け抜けたいな。
渋谷の空を駆け抜けた、『ひばり号』のように！