貴重な集合住宅を移築復元!八王子の「集合住宅歴史館」で最後のツアー参加者になってきた。

UR都市機構の「集合住宅歴史館」(八王子市)が2022年3月31日に閉館となりました。

 

同潤会代官山アパート・蓮根団地・多摩平団地・晴海高層アパートという貴重な集合住宅が移築復元されていたこの施設。

3月30日に行われた最後の見学ツアーの参加者になってきました!

この記事では「集合住宅歴史館」の展示を写真たっぷりでご紹介します。

 

 

「集合住宅歴史館」に到着するとまずは会議室に案内され、施設についての説明を受けた後に「団地への招待」という映像を見せてもらいました。

「団地への招待」は団地の居住者向けに1960年に制作された映像で、以下でも見ることができます!

 

「集合住宅歴史館」は、1969年に日本住宅公団の研究所が八王子のこの場所に移転してきたことから始まりました。

かつては2.6ヘクタールの敷地に14の研究施設があったのです。

その研究施設の1つだった「KEP実験棟」での実験が終了し、1998年に「集合住宅歴史展示棟」としてリニューアルオープン。

最初に蓮根団地の部屋を実験的に持ってきたら上手く建物にはまったので、他の団地も移築されたそうです。

こちらが「集合住宅歴史展示棟」の入口。右側の筒状の建物の正体は後程明らかに!

 

「私にとっても最後のツアーなので少し緊張します・・・」と言うスタッフの方に案内され「集合住宅歴史展示棟」の中へ。

最初に年表が出迎えてくれました。軍艦島にある日本初の鉄筋コンクリート造アパートのことも記載されています!

日本住宅公団のマークは団地をかたどっていて可愛い!

 

それでは、移築復元されていた集合住宅を1つずつ紹介していきます。

 

同潤会代官山アパート(独身住戸)—1927年

一人暮らし向けの住戸。作りつけのベッドがあるのでとても広く感じます!

この部屋はジブリ映画『風立ちぬ』の、お菓子「シベリア」を食べるシーンでも登場しています。

 

共用部分には食堂もあり、食堂カウンターの一部が展示されていました。

 

 

同潤会代官山アパート(世帯住戸)—1927年

こちらは同じ同潤会代官山アパートでも、家族で住む人向けの住戸です。

2部屋に加え、キッチン・トイレもありました。

奥の部屋(主寝室)の左に見える段は床の間で、掛け軸をかけたりお花を生けたりできました。

 

これは展示棟の外に展示されていた、同潤会青山アパートの外灯台座

同潤会アパートから持ってきた唯一のコンクリートはこの外灯台座で、その他のコンクリート部分は再現です。

 

同潤会代官山アパートのUR都市機構の公式資料はこちら

 

 

次に展示されている集合住宅は戦後にできた住宅ですが、その展示に向かうまでに『住宅営団』のコーナーが・・・。

『住宅営団』は1941年に設立された国による住宅供給組織です。

戦時中の組織のため、資料は全て破棄されてしまった・・・はずでしたが!隠し持ってくれていた人がいたため詳細が分かったそうです。

『住宅営団』については三浦 展さんによるこちらのコラムにも詳しく書かれていますので是非ご覧ください。

(実はこの日のツアー参加者の中に三浦さんもいらっしゃって、数々の本を執筆されている三浦さんにお会いできて感動でした!)

 

蓮根団地—1957年

2DK。テーブルが備え付けられたダイニングキッチンが使われています。

そして木製風呂桶の専用風呂が各住戸に!

今の価値にすると家賃10万円くらいで、抽選に当たった人のみ入居できました。

 

蓮根団地のUR都市機構の公式資料はこちら

 

 

多摩平団地テラスハウス—1958年

2階建てで、専用庭もある住戸です。

キッチンの流しがステンレスになっています!

 

お風呂とトイレもスタイリッシュな感じに。

こうして集合住宅の歴史を順番に見ていくと、進化がよく分かって面白いですね!

 

多摩平団地テラスハウスのUR都市機構の公式資料はこちら

 

 

晴海高層アパート —1957年

当時は革命的で、今でいうタワーマンションのような存在だったことでしょう・・・ 10階建ての集合住宅です!

 

晴海高層アパートの特徴はスキップ形式のエレベーター

エレベーターが止まる階と止まらない階があります。

あまりにも複雑なため、晴海高層アパートには来訪者のためにこのような案内看板が設置されていました。

エレベーターが止まる階の方が部屋が狭くて家賃が安く、エレベーターが止まらない階は部屋が広くて家賃が高かったそうです。

どれくらい高いと思いますか?

なんと、今の価値にして月収100万円は無いと住めない部屋だったのです!(賃料自体は25万円程度)

 

エレベーターが止まらない階の部屋

 

トイレはついに洋式が導入されました。

でも・・・

ダイニングの上をトイレの配管が通るという大胆な構造になっています!

 

エレベーターが止まる階の部屋

扉を開けるとすぐトイレ・・・!

畳とふすまがぴったりと揃う大変美しいデザインです!

 

エレベーター

内部の落書きも晴海高層アパート現役当時のものです。

晴海高層アパートの廊下は100mありました。子供達が廊下で遊んでいてうるさくて、廊下で遊ぶのは禁止になったそうです・・・。

 

さて、スキップ方式のエレベーターだと2階の人はエレベーターで3階まで登ってから階段で3階へ降りる必要があります。

それは面倒くさいだろうということで後から採用されたのが外付け階段

展示棟の外観の写真に写っていた、この円柱です!

この円柱の外付け階段は建設時、工場でブロックなどの部材をたくさん作って現地で組み上げました。

ブロックを下手に抜くと壊れてしまうため、「集合住宅歴史館」への移設もとても大変だったそうです。

ちなみに移設された外付け階段は、元々7つあった外付け階段の良い部分の詰め合わせとなっています!

 

晴海高層アパートのUR都市機構の公式資料はこちら

 

 

以上、「集合住宅歴史館」に移築復元されていた集合住宅を紹介しました。

「集合住宅歴史館」は2023年春に北区赤羽台に移転オープン予定です!

紹介した集合住宅も全て移築予定とのことで、また会えるのが楽しみですね!

 

この日は赤羽台には移築されず、公開終了となる「KSI住宅棟」も見学することができました。

KSI住宅は、時代の変化、住まい方の変化に柔軟に対応できる住宅。

内装を自由に変更できる仕組みになっていて、水回りなども自由度が高い新しいタイプの住宅です。

ここ「KSI住宅棟」はそんなKSI住宅のことを楽しく学べる施設になっていました!

 

以上、どの時代の住宅にもそこで暮らす人の幸せな生活を思い浮かべることができた、八王子の「集合住宅歴史館」最後のツアーでした。

 

・・・さて、2023年春の「集合住宅歴史館」リニューアルオープンを待てない方!

以下の2つの施設に展示されている団地にも会いに行ってみてはいかがでしょうか?

 

松戸市立博物館には、日本住宅公団が手がけた常盤平団地が再現されています。

こちらの記事で訪れました!)

 

国立歴史民族博物館には、同じく日本住宅公団が手がけた赤羽台団地が再現されています。

 

八王子の「集合住宅歴史館」、23年間お疲れ様でした!

 

 

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大学の卒業論文で遊園地について書くほど遊園地が好き!珍スポット、レトロスポットも大好き!「永原さくら」という名前で、アニメソング・ゲームソングの作詞をしています。

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