飛行機の組立を見学!MRJミュージアムで 飛行機作りにかける情熱に触れる

いま日本で「初の国産ジェット飛行機」を開発するプロジェクトが進められているのをご存知でしょうか。その名も「MRJ」。

今回はMRJに関する展示や、飛行機の組立を見学できる「MRJミュージアム」に行ってきました。
中でも飛行機の組立を見学できる施設はここを含めて世界で3ヶ所しかないということで、期待が高まります!

MRJの機体(ポストカードより)

MRJとは?

MRJ(Mitsubishi Regional Jet)は三菱重工業が開発している初の国産ジェット機で、2008年から本格的な開発が進み、2014年に初号機が完成、2015年11月11日に初飛行が行われました。現在はアメリカで試験飛行が行われており、航空会社への納入は2020年に予定されています。

Regional(地域の)の名の通り地域間の中距離輸送を担う飛行機で、航続距離は約3400kmと日本からグアムまで飛ぶこともできます。

MRJミュージアムは愛知県名古屋市の北隣に位置する豊山町にあります。MRJミュージアムに隣接して県営名古屋空港があるため、古くから航空機産業が盛んな地域です。

 

まずはMRJミュージアムのチェックインカウンターがある「あいち航空ミュージアム」へやってきました。

あいち航空ミュージアムの2階にあるMRJミュージアムチェックインカウンターで受付を行います。ちょっと紛らわしいのですが、「MRJミュージアム」と「あいち航空ミュージアム」は別の施設になっています。同じ階にあいち航空ミュージアムのチケット売り場もあるため、間違えないように注意が必要です。

MRJミュージアムはツアー形式で見学することになっており、事前にWebサイトからの予約が必要です。(あいち航空ミュージアムは予約なしで見学することができます。)

見学ツアーは1日10回開催され、各回(90分)の定員は15名(土日は30名)となっています。2017年11月のオープン以来人気が続いていて予約が取りづらいのですが、こまめに予約サイトをチェックして何とか申し込むことができました。料金は大人1000円です。

受付はツアー開始時間の30分前~15分前に済ませる必要があります。
受付を済ませるとパンフレット・注意事項・ゲストパスをもらいました。全員の受付が済むまで、MRJのドキュメンタリー映像が流れる待合室で待機します。

あいち航空ミュージアムとMRJミュージアムは数百メートル離れているため、バスに乗り込んで移動します。

こちらがMRJミュージアムがあるMRJ最終組立工場です。5階部分にMRJミュージアムがあります。
工場敷地内での撮影は禁止されていたため、別の場所から撮影しました。

(工場敷地外から撮影)

延べ床面積は約44,000㎡で、レゴランド・ジャパンの約0.5個分。

(工場敷地外から撮影)

バスに乗って数分でMRJミュージアムに到着しました。

エントランスではMRJの大きな写真が出迎えてくれます。

入口でガイドの方の声が聞こえるイヤホンを受け取ります。
この後のツアー中は撮影機器の持ち込みが禁止されているため、カメラや携帯電話をロッカーに預けます。お手洗いもありました。

それではツアーに出発です!

ツアー中は撮影ができなかったため、パンフレットの写真を用いながらツアーの様子をお届けしたいと思います。

MRJミュージアムの内部は以下の7つのコーナーに大きく分かれています。

1.シアター
2.機内を体験
3.翼とエンジン
4.製造の現場
5.パーツ展示
6.物流ネットワーク
7.MHIグループコーナー

シアターでMRJの映像を鑑賞

はじめに、シアターで5分ほどの映像を鑑賞します。
MRJが手作業で丁寧に組み立てられる様子や、初飛行を行った際の様子が迫力のスクリーンに映し出されました。初飛行の瞬間は私もインターネットの中継映像を見ていて、電車の中でドキドキしながら見ていたのを思い出します…!

実物大の機体で日本製ならではのこだわりを体感

続いてのコーナーには実物大の機体の機首部分があり、MRJの外装や内装に込められたこだわりを学ぶことができます。

まずはMRJの外装を見学。
MRJの機体にあしらわれている赤・黒・金は漆塗りに使われる色をモチーフにしていて、すらっとした機体のデザインは日本刀をイメージしているんだそうです。また機首にある計測装置も間近に見ることができます。

続いて機体の内部に入り、内装を見学します。
操縦席には4つの大型ディスプレイが採用されていたり、視界を妨げない大きな窓があったりと、操縦しやすい工夫がされています。

客席の天井には桜の花びらと富士山をイメージした照明があったり、実際にシートに座って座り心地を体感することができます。シートは革張りと布張りの2種類あり、航空会社が選ぶことができるそうです。シート間隔もゆったりしていて、足元も広くくつろげそうでした。

またMRJの客室に入ってみると、一般的な中距離飛行機よりも広々としている印象がありました。それもそのはず、通常は客室の下にある貨物室をMRJでは機体後方に設置することで、客室内の高さを確保しているんだそうです。

翼とエンジンにもMRJならではの工夫が

「翼とエンジン」のコーナーではMRJの翼とエンジンについて学ぶことができます。

MRJ独自の”ある工夫”が施されている翼の断面を見学できたり、翼の表面を実際に触ってその滑らかさを体感することができます。

またMRJに搭載されているプラット&ホイットニー社製のエンジンには騒音を抑える工夫がされており、これによって離着陸時の騒音範囲も狭まるそうです。2018年7月にイギリスで開催された航空ショーでMRJの飛行が披露された際にも、MRJの静かさが評判だったようです。飛行機の中にいても外にいても、静かなのはうれしいですね。

360度映像で製造の現場を体感

「製造の現場」コーナーではMRJの開発で行われる試験について映像や模型で学べたり、工場での製造の様子を360度映像で体験することができます。

MRJの開発時には模型の飛行機を水面に落として着水時に壊れないか確かめたり、緊急時を想定して90秒以内に全乗客を避難させられるか確かめたりして、安全な飛行機を作るために様々な試験が行われていることがわかりました。

製造現場を体験するコーナーでは、タブレット端末を使って工場内の360度映像を見ることができました。組立中の飛行機を間近で見たり、尾翼の真下など普段見られないアングルから飛行機を見ることができます。

飛行機を構成する様々な部品が目の前に

「パーツ展示」コーナーでは、MRJを構成する様々な部品を間近で見ることができます。

客室内のカーテンや航行灯、フライトレコーダーなどの他、マニアックなところではラムエア・タービン(非常用の風力発電機)など、MRJに搭載されている様々なパーツが展示されていました。

現在は海外メーカーの部品が多いそうですが、今後は国産部品の採用も進め、航空機産業の裾野を広げていきたいとのことでした。

100万点の部品を管理する物流センター

「物流ネットワーク」コーナーではMRJ生産する際に重要となる、物流の管理について学ぶことができます。

MRJには100万点の部品が使われていることもあり、部品や材料を各工場間でスムーズに運搬させることがとても重要になります。そのために総合物流センターを建設し、物流を総合的に管理することで、MRJをスムーズに製造できるようになっています。

三菱重工業の歴史を学ぶ

「MHIグループコーナー」ではMHI(三菱重工業)の歴史や事業内容が展示されています。
三菱重工業は50年前に開発された初の国産旅客機「YS-11」の最終組立を行うなど、古くから航空機産業に携わっています。また船舶や宇宙ロケットの製造も手掛けるなど、数々の分野で重要な役割を担っています。

以上でMRJミュージアムの見学は終了です。

いよいよ”世界に3ヶ所しかない”飛行機の組立を見学できるエリアへ!

MRJミュージアムの見学を終えた後はエレベーターで2階に降り、いよいよMRJの組立工場の見学エリアにやってきました。飛行機の組立を見学できるのはアメリカ・シアトルのボーイング社の工場、フランス・トゥールーズのエアバスの工場に次いで世界で3ヶ所目ということで、世界的に見てもとっても貴重な体験なんです。

工場は「構造ライン」と「艤装ライン」の2つのエリアに大きく分かれていました。「構造ライン」では胴体部分を結合したり、主翼や尾翼を取り付けたりするなど、部品を組み立てて飛行機の形を作る作業を行います。「艤装ライン」では座席などの細かい部品を取り付けたり、機能試験を行います。最大で各ライン6機ずつの作業を同時に行うことができ、当面は月1機の生産ですが、最大で月10機の生産ペースに対応しているそうです。

この日は構造ラインに2機(+胴体部分3機分)と艤装ラインに1機が置かれており作業が行われていました。

航空機の組立工場と聞くとなんだかごちゃごちゃっとしていそうなイメージだったのですが、この工場は非常にキレイで、部品や道具も整然と整理されていたのが印象的でした。落し物が見つけやすいように床が白く塗られていたり、工場内の位置をわかりやすくするために柱に番号が振られているなど、効率的に製造するための工夫がされていました。

MRJ最終組立工場の様子

MRJ最終組立工場の様子(MRJミュージアムのパンフレットより)

工場内には「世界に飛ばすぞ!国産ジェット機」というスローガンが掲げられており、MRJの開発に注ぐ情熱的な想いが伝わってきました。

MRJオリジナルグッズがそろうミュージアムショップ

MRJミュージアムと最終組立工場の見学を終え、エントランスに戻ってきました。
帰りのバスの出発まで10分ほど時間があったため、MRJのオリジナルグッズがそろうミュージアムショップを見てみることに。

クリアファイルやボールペンなどの文房具の他、Tシャツやバッグなどもありました。
MRJと同じ赤・黒・金のカラーリングのネクタイもあり、とってもおしゃれでした。

MRJの模型も販売されています。

記念スタンプコーナーもありました。季節限定のスタンプもあるようで、心配りが細かいです。

記念にトートバッグとポストカードとMRJの形をしたピンバッジを購入しました。

今回ツアーに参加するまでは、「このツアーは実は航空機産業の関係者向けで、一般の個人が参加するのは場違いなんじゃないか…」とも思っていたのですが、実際行ってみると会社関係っぽい方もいらっしゃいましたが個人で参加されている方も多く、また内容もとても親しみやすいものでした。

ガイドの方もユーモアを交えながら非常に丁寧に解説していただき、時々笑いが起きることも。ガイドの方のコスチュームにもMRJのカラーが取り入れられていましたので、注目してみてください!

周辺にもMRJのモチーフが

MRJミュージアムの周辺にもMRJをモチーフにしたものがあります。

MRJ最終組立工場(写真右側の建物)のそばにある歩道橋にMRJが描かれていました。
ちなみにこの写真の左側にはMRJの塗装工場があるため、最終組立工場から塗装工場に飛行機を移動させる際には、間を通っている公道を渡る必要があります。
そのために、この道路には世にも珍しい「飛行機が通る踏切」が設置される見込みなんだそうです。

MRJ最終組立工場に隣接する、県営名古屋空港ビルの1階にもMRJが。

三菱重工業の小牧南工場の入り口にもMRJのイラストがありました。

MRJミュージアムの周辺には他にも「あいち航空ミュージアム」や「航空館boon」といった航空に関する展示施設があります。また県営名古屋空港の見学デッキや、空港ビルを改装してできた商業施設「エアポートウォーク名古屋」など、飛行機を身近に感じられる施設が多くあります。

飛行機好きの方もそうでない方も、ぜひ一度遊びに行ってみてください!

MRJは納入が遅れるなどの苦境も伝えられていますが、今回のツアーでMRJの開発に注ぐ想いに触れたことで、なんとか成功してほしいという思いが一層強まりました。

ツアー中、ガイドの方は「MRJのMは『みんな』のMだとも考えております。」ともおっしゃっていました。いつか実際に飛ぶMRJに乗る日を楽しみにしながら、みんなで応援を続けたいと思います。
がんばれ、MRJ!!

MRJミュージアム

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